墓じまい補助金はもらえる?費用の助成は自治体の墓地が対象

目次

「墓じまいには補助金が出る」と聞いたけれど、うちの墓も対象なのか分からない——そんな状態ではないでしょうか。

この記事では、補助金が出る自治体と出ない自治体を先に示し、対象になる墓の見分け方と申請の順番を整理します。総務省の調査報告書と、市川市・浦安市・太田市・東京都の制度の原文、制度は無いと明記する横浜市や神戸市のページを出典にしました。

まず結論から

  • 撤去費用の助成を公式ページで確かめられたのは、市川市・浦安市・太田市の3市です。どれも、市が経営する墓地の使用者が対象です。
  • 寺院墓地や民営霊園にある墓は、この3市の制度の対象に入りません。横浜市の調査では、市民が持つ墓のうち公営墓地にあるものは14.7%でした。
  • 使用料の一部が戻る制度は市川市と磐田市に、合葬墓へ切り替える制度は浦安市・新居浜市・東京都にあります。
  • 助成の上限は、市川市霊園が区画により7万5000円〜44万円、浦安市墓地公園が15万円です。
  • 助成の申請には、石材店の見積書が要ります。対象外の墓でも、まず複数の石材店から見積もりを取りましょう北九州市も勧めています。

どの自治体で、何が出るのか。「補助金」の中身は3種類

補助金と呼ばれている制度は、撤去費の助成、使用料の返還、合葬墓への切替の3種類に分かれます。撤去の費用そのものにお金が出るのは、撤去費の助成だけです。

自治体(墓地)出るもの中身
市川市(市川市霊園)撤去費の助成、使用料の返還、合葬墓への切替助成の上限は区画により7万5000円〜44万円。使用料は4分の1が戻り、許可から3年以内に未使用で返すと2分の1です。同じ霊園の合葬式墓地を、公募によらずに申し込めます。
浦安市(墓地公園)撤去費の助成、合葬墓への切替助成の上限は15万円。改葬先の合葬式墓地の使用料を負担せずに、墓所を返せます。
太田市(八王子山公園墓地)撤去費の助成墓地を返すときの、墓石の撤去に伴う費用を助成します。
磐田市(市営霊園)使用料の返還使用期間に関係なく、納めた使用料の50%を還付します。
新居浜市(市営墓地)合葬墓への切替区画を返して合葬式施設を使う人は、施設の使用料が全額免除です。墓石の撤去への補助金はありません。
東京都(都立霊園)合葬墓への切替使っている墓を合葬埋蔵施設に切り替える「施設変更」を、規則で定めています。

総務省の報告書には、形の違う支援も載っています。苫小牧市が2021年度に始めた事業です。墓じまいの費用を指定の金融機関から借りた人に、利息と信用保証料を最大5万円まで助成します。報告書によると、「墓じまいを自治体が支援する珍しい事例」として報道されました。

水戸市の返還協力金は、名前は似ていますが対象が違います。交付されるのは、納骨をしたことがない区画を返す人です。

合葬墓に移した遺骨がどうなるかは、墓じまいの遺骨の行き先の記事にまとめました。

自分の墓は対象になるのか

制度は、住んでいる市ではなく、墓がある墓地に付いています。まず、市営の霊園に墓を持つ人の記録を見てみます。

郡山市の市営霊園に墓がある当事者(個人ブログ・note)

周りを見渡すと「墓じまい」として更地になってしまった墓地が結構ありました。

こういうのって「返還墓地」と言って、一度郡山市に返還し
再び「売り出す」ようです。
郡山市の広報「こおりやま」で見かけた時があります

年に3回の墓参りを続けてきた人が、隣の区画の変化に気づいた日の記録です。子どもがいないので、いずれ自分たちの墓もしまうことになると書いています。市川市は返還を後押しする理由を、霊園用地の有効活用と墓地の無縁化対策と説明しています。

出典: 墓じまい(note)(台帳: V0047)

助成を受けられる人は、墓地ごとに決まっています。市川市は、市川市霊園の一般墓地の使用許可を受けていて、お墓を継ぐ親族がいない人や管理に不安のある人です。浦安市は、墓地公園の通常墓所か小型墓所の使用許可を受けている人。太田市は、八王子山公園墓地を返す人です。目的は、この墓地の無縁墓地対策と書いています。

どれも、その自治体が経営する墓地の使用者に向けた制度です。分かれ目は、住んでいる市ではなく、墓がある墓地です。

公営墓地に墓を持つ人は、多数派ではありません。横浜市が2022年度に行った市民アンケートでは、持っている墓が市営などの公営墓地にある人は14.7%でした。最も多いのは寺院などの宗教法人墓地で、48.8%です。寺院墓地や民営霊園の墓は、確かめた3市の制度の対象に入りません。その場合にできることは、相談先の節にまとめました。

国から出る補助金を探している人もいるでしょう。総務省が2023年にまとめた公営墓地の調査報告書に載っている支援は、どれも市町村の取組でした。京都府は、府に補助制度はないと答えたうえで、墓のある市町村の担当課に問い合わせるよう案内しています。

市営の墓地でも、撤去の費用は使用者が持つと定めている市があります。松戸市は市営白井聖地公園の冊子に、墓地を原状に戻す費用は使用者の負担と書いています。名古屋市も、市営霊園の撤去工事の費用は名義人の負担としています。

制度が無いことを、公式ページではっきり書いている自治体もあります。

自治体公式ページの記載
横浜市「横浜市には墓じまいに関する補助金制度はありません。
神戸市助成金制度は設けていない。墓の撤去は、使用者が石材業者などへ依頼する
新居浜市補助金や助成金の制度は設けていない。合葬式施設の使用料の免除は別にあります。
京都府府(京都市を除く)に補助制度はない。詳しくは、墓のある市町村の担当課へ

いくら出るのか。助成の上限は7万5000円〜44万円

助成の額は、墓じまいの総額ではなく、撤去工事の費用に対して決まります。都立霊園の墓をしまった家の見積もりを見ると、費用の内訳が分かります。

夫が継いだ都立霊園の墓じまいに参列した当事者(個人ブログ・アメブロ)

墓石撤去等で更地にする費用、石材店に60万。

取り出した御骨の維持保管(骨の乾燥含)料と合祀墓への納骨費用、葬儀屋に49万円(@7万円×7柱)。

神主さんへのお礼、10万円ちょい。

子のいない叔父夫婦の墓を、甥にあたる夫が継いだ家の記録です。3月に動き始めて、墓じまいまで半年かかりました。助成のある市でも、対象になるのは、このうち石材店に払う撤去の費用です。

出典: 墓じまいに参列(アメブロ)(台帳: V0014)

市川市霊園の助成は、区画の種別と面積ごとに限度額が決まっています。普通墓地は2.5平方メートルで21万円、12平方メートルで44万円です。芝生墓地は、面積にかかわらず7万5000円。浦安市墓地公園の上限は15万円です。

墓石の撤去費用への助成の上限額を、墓地と区画ごとに示した横棒グラフ。市川市霊園は普通墓地12.0平方メートルが44万円、6.0平方メートルが29万円、4.0平方メートルが24万円、2.5平方メートルが21万円、芝生墓地は1.5〜4.0平方メートルのどれも7.5万円。浦安市墓地公園は15万円
図1: 撤去費用への助成の上限額(墓地・区画別)。出典: 市川市「市川市霊園一般墓地返還促進事業」/浦安市「墓所返還者等支援事業」

市川市は、助成するのは原状回復の費用の「全部または一部」としています。上限を超えた分は、自分で払います。見積もりを比べて工事費を下げる意味は、助成のある墓地でも同じです。

「墓じまいで70万円もらえる」という話を見聞きした人もいるでしょう。確かめた助成の上限は、最も高い区画で44万円でした。

70万円という数字が出てくるのは、かかった費用の調査です。鎌倉新書の2026年の調査では、墓じまいの総額は「31万円〜70万円」が31.3%で最多でした。総額の内訳は、墓じまい費用の記事にまとめました。

もらうには、工事の前に何をするのか

申請は、墓地の管理事務所に問い合わせるところから始まります。都立霊園の制度を使った人の記録です。

都立八柱霊園にある祖父母の墓を、母に代わってしまう手続きをした当事者(個人ブログ・note)

先日、八柱霊園の管理事務所に電話で問い合わせをし、手続きに必要な書類を郵送してもらうことになっていた。

その書類が早速届いた。

「施設変更制度に関するお知らせ」
「施設変更申請に必要な申請書類」
「都立霊園合葬埋葬施設使用の手引(施設変更)」

母方の祖父母の墓を、高齢の母に代わって片付けることになった孫の記録です。申請書類のうち誓約書には、工事を請け負う石材店の名前と社判が要りました。東京都は、墓を合葬埋蔵施設に切り替える「施設変更」の手続きを規則で定めています。

出典: 墓じまいのはなし ③(note)(台帳: V0058)

助成金も、石材店を決めるところが出発点です。浦安市の案内では、石材店の見積書を付けて申請し、翌月に可否の通知を受けます。通知のあとで改葬許可証を取り、墓石を撤去して墓所を返します。補助金が交付されるのは、返還のあとです。石材店の選び方は、墓じまい業者の記事にまとめました。

浦安市は、書類を窓口か郵送で受け付けます。1日から15日までの申請は翌月1日、16日から月末までの申請は翌月15日に結果を通知します。申請が多いと、予算の都合で通知が遅れる場合があるとも書いています。

撤去費の助成を受けるときの順番を段階を追って示した図。最初に複数の石材店に見積もりを頼む(申請に見積書が要る。額を比べて1社に決める)。次に墓地の管理事務所か担当課に問い合わせる(制度の有無と、受付が続いているかを確かめる)。続いて申請する(浦安市は見積書の原本を提示。市川市は窓口のみ)。それから可否の通知を待つ(浦安市は申請の翌月に郵送で通知)。そのあと改葬許可を取り、墓石を撤去して返す(工事の前後の写真を残す)。最後に領収書などを出して助成金を受け取る(交付は返還のあと)。申請から交付までの順番は浦安市と市川市の案内による
図2: 撤去費の助成を受けるときの順番。出典: 浦安市「墓所返還者等支援事業」/市川市「市川市霊園一般墓地返還促進事業」

市川市は、工事の見積書と領収書、工事の前後の写真を求めています。申請は霊園管理事務所の窓口だけで、郵送は受け付けていません。写真は工事の前にも要るので、見積もりと問い合わせは、工事より先に済ませます。

受付が止まることもあります。市川市は2026年5月、予算額に達したとして受付を終了しました。9月の市議会で補正予算が承認され、受付を再開しています。

対象外だったとき、迷ったときの相談先

知りたいことによって、聞く先が分かれます。

知りたいこと聞く先と、分かっていること
自分の墓に制度があるか墓がある墓地の管理事務所か、市町村の担当課に聞きます。撤去費の助成、使用料の返還、合葬墓への切替の3つを尋ねます。
名義人が亡くなっている先に名義変更(承継)が要ります。名古屋市は、承継と返還を同時に申請する方法を案内しています。水戸市も、返還の前に承継の手続きが必要としています。
払った永代使用料は戻るか東京都消費生活総合センターは、戻らないのが普通といわれていると答えています。松戸市は、許可から1年を超えた返還は不還付です。東京都と北九州市は、3年以内の返還で半額が戻ります。
制度が無い、対象外だった複数の石材店から見積もりを取って比べます北九州市は、市が指定した業者は無いとし、複数の業者からの見積りを勧めています。

墓じまいを見送った場合にお墓がどうなるかは、墓じまいをしないとどうなるかの記事にまとめました。

まとめ

撤去費用の助成を確かめられたのは、市川市・浦安市・太田市の3市でした。どれも、市が経営する墓地の使用者に向けた制度です。補助金と呼ばれる制度の中身は、撤去費の助成、使用料の返還、合葬墓への切替の3種類。撤去費の助成には上限があり、確かめた範囲では7万5000円〜44万円でした。

まず、墓がある墓地の管理事務所か市町村の担当課に、制度があるかを聞きます。制度があれば、見積もりと申請を工事より先に済ませます。対象外でも、複数の石材店の見積もりを比べてから工事を決めてください。

市営・公営の霊園で墓じまいをした3人の口コミ

最後に、市営・公営の霊園にある墓をしまった3人の記録から、一節ずつ紹介します。

遠方の市営霊園の墓を、石材店の代行でしまった当事者(個人ブログ・note)

思っていたよりは大変ではなかった。

私は一度も現地に行っていない。

書類を書いて送ったり、必要なことを確認したりするだけで、遠くにあるお墓を手放すことができた。

出典: 墓じまい|費用と手続き期間の記録(note)(台帳: V0002)

市営霊園の墓を、臨月の30歳でしまった当事者(個人ブログ・note)

費用はかけられない我が陣営なので、手続き類はすべて自分でやって極小予算に抑えた。お墓を解体して中の遺骨を移動させるには、お役所の手続きも必要だった。幸いわたしはペーパーワーク系は苦にならないタイプ。

役所や霊園とは郵便でもやり取りしながら、聞き慣れない書類を6人分取り寄せなんとか進めた。

出典: 先祖の遺骨と、妊婦のわたし〜30歳の墓じまい(note)(台帳: V0057)

公営霊園にある父の墓を、母の同意を得てしまった当事者(個人ブログ・note)

全部が終わった今はとてもすっきりとしてちゃんとして良かったと亡き父にも胸が張れるような気持ちです。

子供達に未来の宿題を残さず、ほったらかしにならず良かったと思っています。

出典: 2年前に実家の墓じまいをしました(note)(台帳: V0113)

参考文献

  1. 総務省行政評価局 (2023)「墓地行政に関する調査 -公営墓地における無縁墳墓を中心として- 結果報告書」.
  2. 鎌倉新書 (2026)【第4回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)全文版. 回答者は同社サイト「いいお墓」経由で資料請求・霊園見学をした人(有効回答733件).
  3. 横浜市 (2023)「令和4年度 横浜市墓地に関する市民アンケート調査 報告書」. 20歳以上の市民5,000人を無作為抽出(2022年10月・回収1,822件).
  4. 東京都「東京都霊園条例施行規則」第8条の2(合葬埋蔵施設等への施設変更の手続)・第14条(使用料の還付).
  5. 北九州市「諸手続きについて(市営霊園)」.
  6. 市川市「市川市霊園一般墓地返還促進事業」(2026年9月16日更新).
  7. 浦安市「墓所返還者等支援事業」(令和8年4月24日更新).
  8. 太田市「八王子山公園墓地(返還届・墓石撤去費用助成金)」.
  9. 神戸市「墓じまい」よくある質問と回答.
  10. 東京都消費生活総合センター (2018) 消費生活相談FAQ「数年前に購入した墓を解約する。永代使用料を返金してほしい。」.
  11. 水戸市「水戸市公園墓地の返還協力金について」(2024年5月28日更新).
  12. 磐田市「市営墓地」市営霊園の使用料還付制度.
  13. 松戸市「松戸市営白井聖地公園 墓地の使い方(2025年度版)」.
  14. 名古屋市「八事霊園・愛宕霊園 よくある質問」墓じまい(墓地返還)について.
  15. 横浜市「横浜市には墓じまいに関する補助金制度はありません」(2023年12月27日更新).
  16. 京都府 よくあるお問い合わせと回答「墓じまいのための補助金はあるか。」(番号04502).
  17. 新居浜市「墓じまいについて」よくあるお問い合わせと回答.

当事者の口コミの出典: V0047(note)/V0014(アメブロ)/V0058(note)/V0002(note)/V0057(note)/V0113(note)。いずれも本人が公開している記録で、引用は原文のままです。

更新履歴: 2026-09-19 公開