まず結論から
- 実際に墓じまいをした人への調査では、総額は「31万円〜70万円」が31.3%で最多でした。30万円以下(16.8%)と合わせ、約48%が70万円以下です。
- 151万円以上かかった人も14.0%います。墓地の広さと次の納骨先で、総額には幅が出ます。
- 離檀料がかかわるのは、寺院墓地にある墓です。お墓を移した人のうち、寺院墓地からの移動は33.2%でした。額に明確な基準はなく、納得がいかないときは寺と話し合います。
- 撤去工事は、複数の石材店から見積もりを取りましょう。北九州市も、市立霊園の案内で勧めています。
「墓じまいの費用」は何に払うお金なのか
墓じまいとは、今あるお墓を片付け、墓地の管理者に返すことです。遺骨をほかの墓や納骨堂へ移すことは「改葬」と呼ばれ、市区町村長の許可が要ります。
お金の出ていく先は1つではありません。八王子市の案内では、まず今の墓地の管理者に連絡して、遺骨の数を確かめます。次に移す先を決め、役所に改葬許可を申請し、許可証を受け取ってから遺骨を動かします。そのあと、お墓から霊を抜く法要(抜魂式)を行い、墓石を撤去します。法要の呼び名は宗派によってさまざまです。当事者の記録には「閉眼供養」の名で出てきます。
撤去工事の見積もりは、いちばん最初に取っておくことをおすすめします。墓じまいを検討してやめた人の理由で最も多いのは、解体費用の高さでした。先に額が分かっていれば、家族と話し合う材料になります。支払先は次の4つです。
| 支払先 | 何に払うか | 知っておくこと |
|---|---|---|
| 石材店 | 墓石の撤去工事 | 撤去は墓地の使用者の義務とされています。北九州市は、コンクリートの基礎まで撤去し、使う前と同じ更地にして返すよう求めています。 |
| 次の納骨先 | 永代供養墓、納骨堂、樹木葬など | 遺骨の遺棄は刑法で罰せられるので、取り出した遺骨には必ず行き先が要ります。骨壺1つごとに料金がかかる形の施設もあります。行き先ごとの費用は、墓じまいの遺骨の行き先の記事にまとめました。 |
| お寺 | 法要のお布施、離檀料 | 墓石を撤去する前に法要を行います。離檀料は、檀家をやめるときのお礼として慣習的に支払うお金です。 |
| 役所 | 改葬許可の申請 | 京都市も下関市も、手数料は無料です。 |
結局、総額でいくらかかるのか
まず、費目を一つずつ書き残した人の記録を見てみます。
2025年に兄の墓じまいをした当事者(HALMEK up・読者アンバサダーの寄稿)
兄の墓じまいにかかった金額は、
石碑処分費用 6万円
霊名碑処分費用 2万8000円
巻石処分費用 5万円
解体手間賃など 13万円以上に、消費税が加算され、
合計 29万4800円これに、
合葬式使用料 11万円
閉眼供養のお布施代 5万円
を払ったので、合計 45万4800円 でした(※各書類の申請料金は、入っていません)。墓じまいは、「離檀料」と新たに作る「墓代」で、金額が大幅に変わります。私の場合、離檀料を払う必要がなかったこと、墓の移転先が公営の合葬式墓地だったこともあり、相場より安くすみました。
2025年6月に兄の墓をしまった人の記録です。寺と管理費のことで行き違いがあったため、移す先は金額のはっきりした公営の合葬式墓地(多くの人の遺骨を一緒に納める墓地)にしました。この総額は、調査で最も回答が多かった価格帯に入ります。
出典: 「墓じまいの」金銭トラブルを防ぐ!総額45万円で抑えたわが家の体験談(HALMEK up)(台帳: V0020)
調査は、お墓の情報サイト「いいお墓」を運営する鎌倉新書が、サイトの利用者を対象に2026年1月に行いました。実際に墓じまいをした人の総額は、「31万円〜70万円」が31.3%で最多です。30万円以下の16.8%と合わせると約48%。およそ2人に1人が、70万円以下で終えています。
高額になった人もいます。151万円以上は14.0%でした。同社は、墓地の広さと、移す先の永代供養墓・納骨堂の等級で幅が出るとまとめています。「平均でいくら」と1つの数字で言いにくいのは、このためです。
墓石の撤去工事は、なぜ店によって見積もりが違うのか
先の記録では、総額45万4800円のうち29万4800円が石材店への支払いでした。墓じまいを検討してやめた人の理由でも、「解体費用が高すぎた」が22.2%で最多です。やめたあとお墓がどうなるかは、墓じまいをしないとどうなるかの記事にまとめました。
山の中の墓2基をしまうことにした一人娘の当事者(個人ブログ・note)
⚫︎A社 676,000円
⚫︎B社 420,000円
⚫︎C社 401,000円
⚫︎D社 395,000円
⚫︎E社 248,000円この結果を見て、「こんなに差が出るのか」と驚きました。5社に見積もりをお願いして、本当に良かったと思います。
特にA社とE社の差は、なんと約42万円。同じ内容でも、ここまで違うとは思いませんでした。
山の中にある父の墓と先祖の墓の2基について、写真と説明をメールで送り、5社に見積もりを頼んだ記録です。最も安い1社を選びましたが、事務所で説明を聞いて信頼できたことも決め手でした。見積もりの物差しは、実は石材店ごとに違います。
出典: 墓じまいを決めるまでの話【5社見積もりを取って分かったこと】(note)(台帳: V0001)
石材店の業界団体である日本石材産業協会は、会員の石材店に積算の単位を尋ねました。184件の回答は、大きく5つに分かれました。石の体積(才数)が29.9%、墓地の面積(平米)が17.4%、「一式」が12.5%です。石の重量(kg)が12%、人件費(人工計算)が8.7%と続きます。物差しが違うので、見積書を1枚だけ見ても高いか安いかを判断できません。
だからこそ、複数の石材店から見積もりを取って比べてください。北九州市は市立霊園の案内に、施工業者はどこでも構わないこと、複数の業者から見積りを取るよう勧めることを明記しています。比べるときは、次の2点をそろえます。
| そろえること | 確かめる中身 |
|---|---|
| どこまで撤去するか | 基礎の撤去と、遺骨の取り出しが含まれているか。北九州市は、土の中に骨壺が埋まったままの例が散見されるとして、十分に掘り返すよう注意しています。 |
| 「一式」の中身 | 同協会のガイドラインは、登録店が「一式」で出す場合、含まれるものの内容と数量を明記するよう求めています。含まれないものは、別途費用になる旨を書く決まりです。 |
石材店の選び方と、代行に任せられる範囲は、墓じまい業者の記事にまとめました。
お寺に包むお金は、いくらが「正しい」のか
寺院墓地では、石材店とは別に、お寺に包むお金があります。撤去の前に行う法要のお布施と、いわゆる離檀料です。全国石製品協同組合の調査では、検討中の人の心配ごとで最も多かったのが「高額な離檀料を請求される」ことでした。
両親の墓をしまい、合同墓へ移した当事者(個人ブログ・アメブロ)
檀家であれば
暗黙の了解で相場が決まっているのですが
教えていただく相手がいません仕方なく
お寺に「不作法とは存じますが…」と
お布施について聞いてみました「3万円いただいております」とのことでした
これって聞きにくいですよね
「お気持ち」って言われたらどうしようか…恐縮しつつ
お尋ねしたらサラッとお伝えくださったので
気持が楽になりました
先祖代々の檀家を外れていて、お布施の目安を教えてくれる相手がいなかった人の記録です。石材店の一式16万5000円と合わせて、費用は20万円弱でした。曹洞宗も、疑問や要望があれば早い段階で菩提寺に相談するよう勧めています。
出典: 親が亡くなってからも大変!墓じまいにかかる費用-お金⑭(アメブロ)(台帳: V0015)
心配と実際には、ずれがあります。全国石製品協同組合の同じ調査で、墓じまいを終えた人の回答は「困ったことはない」が最多でした。
離檀料がかかわるのは、寺院墓地にある墓です。全日本仏教会と大和証券が2024年12月に行った調査では、お墓をほかの場所へ移した174人のうち、寺院墓地からの移動は33.2%でした。54.1%は、寺院の墓地や納骨堂ではない場所からの移動です。
国民生活センターは離檀料について、「明確な基準はなく、金額に納得がいかない場合は、基本的に寺などと話し合うことになります」と助言しています。曹洞宗も2023年に、宗門としての離檀料の取り決めはなく、もらうようにという指導もしていないと公表しました。感謝の気持ちとして布施を納める場合はあっても、額は当事者どうしの話し合いで決まる、という考えです。
国民生活センターの月刊誌では、全日本墓園協会の横田睦氏が、寺の側の事情にも触れています。長年連絡のなかった墓を寺が管理し続けてきたところへ、突然墓じまいを申し込まれる。そうした行き違いが、請求の背景にあることも珍しくないそうです。支払えない額を示されたら、根拠と額を寺に尋ねます。あわせて、檀家の代表(檀家総代)や同じ寺の檀家である親族に、適正な額かを確かめる方法も挙げています。
費用で迷ったときの相談先
相談先は、内容によって分かれます。
| 困りごと | 相談先 |
|---|---|
| 工事の金額のこと | 複数の石材店の見積もりを、撤去の範囲と「一式」の中身をそろえて比べます。 |
| 手続きのこと | 墓が今ある市区町村の窓口。改葬の許可を出すのは市区町村長です。 |
| お寺とのお金のこと | まず、早い段階で菩提寺に相談します。話し合いで解決しないときは、地元の消費生活センターか、消費者ホットライン(電話番号188)へ。 |
自治体の助成を受けられる墓かどうかは、墓じまい補助金の記事で確かめられます。
費用を誰が持つかは、相続の話と混ざりやすい点です。民法が定めているのは、墓を誰が引き継ぐかです。墓は相続財産とは別に、先祖のまつりごとを主宰する人が承継します。国民生活センターも、墓じまいは家族や親族を交えてよく話し合うよう呼びかけています。
まとめ
墓じまいの費用は、お寺・次の納骨先・役所・石材店という支払先ごとの合計です。調査では総額「31万円〜70万円」が最も多く、およそ半数が70万円以下でした。
工事は、複数の石材店から見積もりを取り、条件をそろえて比べます。離檀料に明確な基準はないので、お寺とは早めに率直に話し合います。迷ったら、墓のある市区町村の窓口と、消費者ホットライン188に相談してください。